LOH症候群チェックで今すぐ確認|AMS判定基準と受診の目安

LOH症候群チェックで今すぐ確認|AMS判定基準と受診の目安
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記事監修:東京駅前院 院長 内田 一宝

1991年日本医科大学卒業。同大学病院での勤務を経て、2011年に医療法人社団大樹会理事長に就任しました。2026年より「新東京クリニック」の院長として、東京駅前・立川駅前で診療を行っています。 30年以上の臨床経験を活かし、患者様に寄り添った分かりやすい解説を心がけています。

「休んでも疲れが抜けない」「以前ほど気力が湧かない」「性欲が減った気がする」——40代を過ぎてこうした変化に心当たりがあるなら、それは単なる加齢ではなく、LOH症候群(男性更年期障害)が背景にあるかもしれません。原因がわからないまま我慢を続けると、心身への負担はじわじわと積み重なっていきます。自分の不調が病態によるものか、それとも一時的な疲労によるものかを見極める第一歩として役立つのが、自宅でできるセルフチェックです。本記事では、判定の仕組みや点数の目安、似た症状を示す他の不調との違いまで、順を追って丁寧に紹介します。あわせて、受診の目安や検査の流れについても具体的に取り上げます。 

LOH症候群とは|男性更年期障害の原因・症状と基本知識

LOH症候群とは、男性ホルモンの低下によって心と体に不調が現れる病態です。まずは基本的な特徴を確認していきましょう。

LOH症候群はテストステロンの低下によって心身に不調が現れる男性特有の病態

LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが加齢やストレスの影響で低下することにより、心身にさまざまな不調が現れる病態とされています※1。テストステロンは筋力や骨密度の維持だけでなく、意欲や集中力、性機能にも関わるホルモンであるため、その分泌が低下すると症状は多岐にわたる可能性があります。主な症状は次のように整理できます。

  • 身体症状:発汗、ほてり、疲労感、筋力低下など
  • 精神症状:気分の落ち込み、意欲低下、集中力低下など
  • 性機能症状:性欲低下、勃起力の低下、早朝勃起の減少など

これらの症状はテストステロン低下以外の要因でも起こり得るため、自己判断だけで結論づけず、気になる場合は医療機関に相談することが望ましいとされています。

※1 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」

女性の更年期障害と異なり40代以降ならいつでも発症し終わりに明確な区切りがない

女性の更年期障害は閉経を境に卵巣機能が急激に低下するため、発症時期や症状が比較的落ち着く時期がはっきりしている一方、男性のテストステロンは30歳前後をピークに年1%前後という緩やかなペースで漸減していくとされています※2。そのため、LOH症候群は40代から70代まで、いつ発症してもおかしくなく、症状が数年から数十年にわたり継続するケースも珍しくありません。低下の速度や症状の出方には個人差が大きいことも特徴のひとつです。生活習慣やストレスの度合いによって進行の仕方が変わる可能性がある点も、女性の更年期障害との違いといえるでしょう。

※2 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

「疲れが取れない」「やる気が出ない」「ED」が重なったときはLOH症候群を疑う

LOH症候群は単一の症状ではなく、複数の不調が同時に、あるいは時間差で重なって現れることが多いとされています。特に「休んでも疲労感が抜けない」「以前は楽しめていたことに関心が持てない」「勃起力の低下や性欲減退を感じる」という3つの症状が揃って続く場合は、テストステロン低下の可能性を念頭に置く一つの目安になり得ます。もっとも、これらの症状は睡眠不足やストレス、他の疾患でも起こり得るため、あくまで受診を検討するきっかけの一つとして捉え、気になる症状が続く場合は自己判断で終わらせず、泌尿器科などの専門医に相談することをおすすめします。

LOH症候群チェックに使うAMSスコアとADAM質問票の違い

自己チェックの代表的な方法として、AMSスコアとADAM質問票の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

AMSスコアは身体・精神・性機能の17項目を5段階で評価する国際標準の質問票

Aging Males’ Symptoms(AMS)スコアは、Heinemannらによって開発され多くの言語に翻訳されている自己記入式の質問票です※3。身体症状、精神症状、性機能症状に関する17項目について、それぞれ「なし」から「非常に重い」までの5段階(1〜5点)で評価し、合計点で症状の程度を判定する仕組みになっています。国際的に広く使用されており、日本語版についても妥当性が検証されています。もっとも、AMSスコアは感度は高い一方で特異度は限定的とされており、スコアのみでLOH症候群と確定できるものではなく、あくまで症状把握や治療効果の確認に役立つ目安として位置づけられています。

※3 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

ADAM質問票は性欲低下・朝立ちの減少など10項目で素早くスクリーニングできる

Androgen Deficiency in Aging Males(ADAM)質問票は、Morleyらが開発した10項目からなる質問票で、それぞれの項目に「はい」「いいえ」で回答する簡便さが特徴です※4。性欲の低下、活力の減退、体力・持久力の低下、身長の低下、日々の楽しみの減少など、身体面と精神面の症状を短時間でチェックできるよう設計されています。AMSスコアと同様に、感度は高いものの特異度は限定的であることが報告されており、これ単独でLOH症候群と診断できるものではありません。手軽さを活かし、まず自分の状態を大まかに把握したい場合に活用しやすいチェックリストといえるでしょう。

※4 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

AMSは重症度の把握に、ADAMは性機能症状の絞り込みにそれぞれ強みがある

AMSスコアは17項目を5段階で採点するため、症状の重症度を段階的に把握しやすく、治療開始後の経過観察や効果測定にも活用しやすいという特徴があります。一方でADAM質問票は10項目を「はい」「いいえ」で答えるだけのシンプルな形式のため、短時間で性機能症状を中心とした変化に気づきやすいという利点があります。どちらか一方が優れているというより、目的に応じた使い分けが重要です。

  • 詳しく段階的に症状を把握したい場合:AMSスコアが適する
  • 短時間で性機能面を中心に確認したい場合:ADAM質問票が適する
  • 治療効果の推移を継続的に見たい場合:どちらも経過観察の補助に活用できる

いずれの質問票も確定診断のためのものではなく、受診を検討する際の参考情報として活用することが推奨されています。初めてセルフチェックをする場合は、まず簡便なADAM質問票で大まかな傾向をつかみ、気になる結果が出た場合にAMSスコアでより詳しく症状を整理する、という順序で活用するのも一つの方法です。

LOH症候群チェック結果の正しい読み方と重症度の判定基準

チェックリストの点数が出たら、その数値をどう読み解けばよいのかを確認しておきましょう。

AMSスコアは27点以上で軽度・37点以上で中等度・50点以上で重症と判定する

AMSスコアは17項目の合計点によって、17〜26点を「症状なし」、27〜36点を「軽度」、37〜49点を「中等度」、50点以上を「重症」と区分する目安が示されています※5。点数が高いほど自覚症状の負担が大きいことを意味しますが、この点数だけでLOH症候群と確定されるわけではなく、あくまで症状の程度を把握するための参考値です。中等度以上に該当する場合は、生活習慣の見直しだけで様子を見るのではなく、一度医療機関で相談することが望ましいとされています。

※5 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

ADAM質問票は1番または7番が「はい」かつ他3項目以上が「はい」なら要受診サイン

ADAM質問票では、性欲低下(1番)または勃起の強さの低下に関わる項目(7番)のいずれかが「はい」である場合、あるいはそれ以外の項目のうち複数が「はい」に該当する場合に、テストステロン低下が疑われる一つの目安とされています。具体的な判定の組み合わせは出典によって示され方に幅があるため、詳細は受診先の医療機関で確認することをおすすめします。この基準は感度が高く設計されている一方で、他の要因でも該当しやすいという特異度の限界も指摘されているため、あくまでスクリーニングの入り口として捉えることが大切です。該当する場合は自己判断で対処を終わらせず、専門の診療科を受診し、血液検査などの客観的な評価を受けることが推奨されます。なお、質問項目には性機能に関するもの以外に、身長の変化や日々の楽しみの減少といった項目も含まれており、性機能症状がなくても複数の項目に該当する場合は、体全体の変化として捉えておくとよいでしょう。

セルフチェックはあくまで目安であり確定診断には血液検査との組み合わせが必要

AMSスコアもADAM質問票も、感度は比較的高いものの特異度が限定的であることが報告されており、質問票の結果のみでLOH症候群と確定診断することはできません※6。最終的な診断には、血液検査による総テストステロン値・遊離テストステロン値の測定と、問診による症状の総合的な評価を組み合わせる必要があります。セルフチェックの主な役割は、受診を検討するきっかけをつかむことにあります。点数が高かった場合はもちろん、点数が低くても症状がつらいと感じる場合は、無理をせず医療機関に相談することをおすすめします。

※6 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

LOH症候群チェックがうつ病・自律神経失調症との見分けに役立つ理由

LOH症候群の症状はうつ病などと似ている部分があるため、見分け方のポイントを整理しておきましょう。

LOH症候群は血液検査でテストステロン低下という客観的な裏付けを確認できる

LOH症候群とうつ病は、意欲低下や気分の落ち込みなど症状が重なる部分が多く、臨床の現場でも鑑別が難しいとされています※7。ただしLOH症候群の場合は、血液検査で総テストステロン値や遊離テストステロン値の低下という客観的な指標を確認できる点が特徴です。うつ病がLOH症候群を伴わずに、男性更年期を診療する専門外来を受診するケースも報告されており、精神症状が強い場合は、ホルモン値の測定とあわせて総合的に評価することが重要とされています。自己判断で「気分の落ち込み=更年期障害」と決めつけず、必要に応じてうつ症状を評価する質問票なども併用しながら、専門医が総合的に判断していく流れが一般的です。

※7 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

筋力低下・ほてり・EDなど身体症状が精神症状と重なる場合はLOHを優先して疑う

気分の落ち込みや意欲低下といった精神症状に加えて、筋力低下、発汗・ほてり、ED(勃起障害)といった身体症状や性機能症状が同時に見られる場合は、精神疾患単独よりもLOH症候群の可能性を優先して疑う一つの手がかりになります。特に次のような症状が複数重なっている場合は、テストステロン低下の関与を念頭に置くとよいでしょう。

  • 性機能症状:性欲低下、早朝勃起の減少、ED
  • 身体症状:筋力低下、発汗・ほてり、疲労感
  • その他:睡眠の質の低下、体脂肪の増加傾向

これらに心当たりがある場合は、精神科やメンタルクリニックだけでなく、泌尿器科やメンズヘルス外来への相談も選択肢に入れることをおすすめします。どちらを先に受診すべきか迷う場合は、まず身体症状や性機能症状の有無を整理したうえで、かかりつけ医に相談し、適切な診療科を紹介してもらうという方法も現実的です。

精神症状のみで身体症状がない場合はうつ病や自律神経失調症を並行して鑑別する

一方で、気分の落ち込みや不安感といった精神症状が中心で、身体症状や性機能症状があまり見られない場合は、LOH症候群よりもうつ病や自律神経失調症など他の疾患が背景にある可能性も考えられます※8。実際には両者が併存するケースもあるため、どちらか一方に決めつけず、心療内科や精神科と泌尿器科の両方の視点から評価を受けることが望ましいとされています。症状の重なり方を整理してから受診すると、医師とのコミュニケーションもスムーズになりやすいでしょう。

※8 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

LOH症候群チェック後に受診すべき病院と検査の流れ

チェックの結果、気になる点があった場合に、どこを受診しどのような検査が行われるのかを解説します。

泌尿器科・メンズヘルス外来が主な受診先で症状が複合的な場合は専門外来が適している

LOH症候群が疑われる場合の主な受診先は、泌尿器科やメンズヘルス外来(男性更年期外来)です。性機能症状が中心の場合は泌尿器科、身体症状・精神症状・性機能症状が複合的に見られる場合は、テストステロン治療に詳しい専門外来の受診が適していると考えられます。なお、疲労感や気分の落ち込みの背景には、甲状腺機能低下症やうつ病、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群など他の疾患が隠れている場合もあるため、初診時にはこうした疾患の除外も含めて総合的に診察が行われるのが一般的です。受診の際は、事前にAMSスコアやADAM質問票の結果、気になる症状が始まった時期などをメモしておくと、限られた診察時間の中でも状態を正確に伝えやすくなります。

遊離テストステロン値の採血は午前中に受けると日内変動の影響が少なく正確に出る

血中テストステロン値は日内変動があり、朝に高く夕方にかけて低下していく傾向が報告されています※9。そのため多くのガイドラインでは、午前中の空腹時に採血を行うことが推奨されています。2022年に改訂された診療の手引きでは、総テストステロン(TT)値(250ng/dL未満)を主たる診断指標とし、遊離テストステロン(FT)値(7.5pg/mL未満)を補助的な指標として組み合わせて評価することとされています。検査は外部の検査機関に委託されることが多く、結果が出るまでに一定の期間を要する場合がある点もあらかじめ知っておくとよいでしょう。

※9 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

PSA検査で前立腺がんを除外してからホルモン補充療法(TRT)の適応を判断する

テストステロン補充療法(TRT)を検討する前には、前立腺の状態を確認するためPSA(前立腺特異抗原)検査を行うことが推奨されています。目安として、PSA値が2.0ng/mL未満であれば前立腺がんのリスクが低いと考えられ、2.0〜4.0ng/mLの場合は慎重な検討が必要とされ、4.0ng/mL以上の場合は前立腺がんの精密検査が優先されるとされています。なお手引きでは、PSAが2.0ng/mL以上の場合には前立腺がんを除外するため泌尿器科への紹介が推奨されています※10。前立腺にアンドロゲン依存性の腫瘍がある場合、テストステロン補充によって病状が悪化する可能性があるため、こうした事前確認は治療の安全性を確保するうえで欠かせないプロセスです。

※10 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

LOH症候群と診断されたときの治療法と放置するリスク

実際にLOH症候群と判断された場合の治療の選択肢と、放置した場合に懸念されるリスクを解説します。

男性ホルモン補充療法(TRT)は注射・塗り薬でテストステロンを直接補充する

テストステロン補充療法(TRT)は、不足している男性ホルモンを外部から補うことで症状の改善を目指す治療法です。国内では医療機関での筋肉内注射による方法が一般的で、用量に応じて2〜4週間ごとに投与するケースが多く見られます※11。このほか、陰嚢や腹部などの皮膚に塗布するクリームタイプの製剤も選択肢としてあります。治療効果の現れ方には個人差があり、性機能に関する症状は治療開始から数か月以内に変化を感じ始める例が報告されている一方、効果や副作用については個人差があることを理解したうえで、医師の説明を受けながら進めることが大切です。

※11 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

軽度の場合は睡眠・運動・食事の見直しと漢方薬の併用で症状が改善する可能性がある

症状が軽度にとどまる場合は、TRTを行う前に生活習慣の見直しから取り組むことも選択肢の一つです。具体的には、次のような取り組みが症状の緩和につながる可能性があるとされています。

  • 睡眠:十分な睡眠時間の確保と睡眠の質の改善
  • 運動:適度な有酸素運動や筋力トレーニングの習慣化
  • 食事:栄養バランスの取れた食生活とアルコール摂取の見直し

これらに加えて、症状に応じて漢方薬を併用する場合もあります。生活習慣の見直しは薬物療法に比べて即効性は期待しにくいものの、副作用のリスクが少なく、他の生活習慣病の予防にもつながる可能性がある点がメリットといえます。ただし効果には個人差があり、症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断で継続せず医師に相談しながら治療方針を検討することが望ましいとされています。

テストステロン低下を放置するとメタボ・糖尿病・動脈硬化・認知症リスクが高まる

テストステロンの低下を放置した場合、単に意欲や性機能の問題にとどまらず、内臓脂肪の増加やメタボリックシンドローム、2型糖尿病、動脈硬化性疾患などのリスク上昇と関連する可能性が指摘されています※12。また、加齢に伴うテストステロンの低下が認知機能の低下と関連する可能性を示す報告もあり、心身の幅広い領域に影響が及ぶ可能性があります。もちろんこれらのリスクには個人差があり、テストステロン低下だけが原因とは限りませんが、気になる症状を放置せず、早めに専門医へ相談することが将来的な健康維持につながると考えられます。

※12 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療の手引き」

まとめ|LOH症候群チェックは症状改善への重要な第一歩

LOH症候群は、加齢に伴うテストステロンの低下によって、身体・精神・性機能にわたる多様な不調が現れる病態です。AMSスコアやADAM質問票によるセルフチェックは、自分の状態を客観的に把握し、受診を検討するきっかけをつかむための有効な手段といえます。ただし、これらの質問票はあくまで目安であり、確定診断には血液検査による総テストステロン値・遊離テストステロン値の測定と、医師による総合的な判断が欠かせません。また、うつ病や自律神経失調症など似た症状を示す他の疾患との鑑別も重要なポイントです。気になる症状が続く場合は、一人で抱え込まず、泌尿器科やメンズヘルス外来などの専門医に相談し、必要に応じて検査や治療を受けることをおすすめします。治療法についても、生活習慣の見直しからテストステロン補充療法まで選択肢は一つではなく、症状の程度や体質に応じて医師と相談しながら決めていくことができます。早めに現状を把握し、正しい情報にもとづいて行動することが、心身の調子を取り戻すための重要な第一歩になるでしょう。